「薔薇を生む、わたし。薔薇を愛でる、あなた。」

 わずかに遅刻して、未映子さんの朗読の最中に店内に入るというだらしなさ。すでに朗読は後半になっており、おもにテキストだけで未映子さんの詩を感じる。妊娠の問題はフェミニズムに繋がっている。しかし、産まない自由はあっても産む自由はない(だったら不妊治療というものは存在しない)ということを最近感じるのだけれど、そういうことも含めて、同世代の女子(あえて女ではなく女子)であれば、胸に来るものがあるのではないかと思った。
 加野瀬(id:kanose)さんの話。表現の場所というものについて、今はその商売で食おうと思っていない、表現欲のある人々はネットで作品を発表し、評価を求めているという話。もっとつっこめばよかったのだけれど、ネットがない頃ってそれってまんまファンロード(とそれに類する雑誌)の役割だったんじゃあるまいか。ハガキ職人同士の誌上交流や、編集部主催のお茶会(つまりオフ会か)など、ネット以前の人々はああいうところで蠢いていたように思う。
 ばるぼらさんの話。とにかく冒頭で掴みはOK状態でばるぼらさんは持っていってしまったので、ただただ面白かった。未映子さんとの会話のかみ合い方というか、かみ合わなさが楽しい。ずっと笑っていて、内容はよく覚えていない。
 円盤店主である田口さんのお話。インディーズってなんだろう? という疑問がいまいち解消されない私だが、沖縄の音楽流通の話がリンクするところも多くとても楽しかった。仕事が「おもしろい」か「おもしろくないか」ということってすごく重要だと思うんだけど、世の中は「食えるか」「食えないか」のことが多いのかもしれない、と田口さんのお話を聞いて思った。いやそれはこのイベントに出演していた人すべてから感じたことかもしれない。