十字架
Perfumeはテクノポップアイドル、である。ただのアイドルではなく、テクノポップアイドルである。そのテクノポップな部分には中田ヤスタカプロデュースということがおそらく多分に影響している。最近、Perfumeがテクノポップアイドルではなく、ただのアイドルだったら……ということを考える。
ただのアイドルだったら、Perfumeはここまでブレイクしなかっただろう。なんといってもこの中田サウンドにやられている人が多いのだから。アイマスのニコニコ動画もなかっただろうし、音楽ファンの人たちがハマるなんて現象もなかっただろう。つまり今のブレイクは彼女たちが「テクノポップ」アイドルであったからこそといえる。
でもPerfumeの3人は「テクノポップ」アイドルになりたかったんだろうか? SPEEDにあこがれてアクターズスクールに入った彼女たちは、なにになりたかったんだろう?
この問いかけが彼女たちに投げかけるまでもなく愚問であることはわかっている。彼女たちはずっと売れたいと思ってきた。だから今やっていることはなにも間違っていない。
私は、Perfumeがあの3人じゃなかったらこんなに売れなかったと思う。その理由をくどくどと述べることはしないが、初音ミクのPerfume楽曲を聞いても、私は確信する。Perfumeの3人がうたったからこそ、Perfumeはブレイクしたのだ。彼女たちはテクノポップアイドルであると同時にまぎれもなくアイドルだ。
けれど、けれどね。友人の言葉を借りる。
「彼女たちからテクノポップという十字架をとりさってあげられたら」
そう、彼女たちが背負ったテクノポップという十字架をとりさることができたら。
彼女たちにテクノポップがなかったら、こんな風にはブレイクしなかっただろう。たくさんの人の目にふれなかっただろう。けれど、彼女たちがテクノポップアイドルではなく、ただのアイドルであったら。
そんなことを夢想してやまない。