雑然と

 吉田アミ(id:amiyoshida)さん、未映子さんによるトークイベント「薔薇を生む、わたし。薔薇を愛でる、あなた。」に行ってきた。いろいろと思うところがあったので、このはてなIDはずいぶん前から凍結していたものなのだけれど(そもそもmixi以外のネット上の活動がほとんど凍結されているのだけれど)、感じたことをちゃんと書きたくて、それにははてなが適していると思って、ここに記そうと思う。
 そもそも私は思考遊びをしなくなって久しい人間だ。周囲の文筆業の人たちは割とネットに文章を書き続けている。そのネットに文章を書くという行為についてもこのトークイベントで少し考えることがあった。まあかといって、一度ネットに文章を書く習慣がなくなってしまった私がいつまでそれを続けることができるのかというと大変に微妙なんだけどね。

「薔薇を生む、わたし。薔薇を愛でる、あなた。」

 わずかに遅刻して、未映子さんの朗読の最中に店内に入るというだらしなさ。すでに朗読は後半になっており、おもにテキストだけで未映子さんの詩を感じる。妊娠の問題はフェミニズムに繋がっている。しかし、産まない自由はあっても産む自由はない(だったら不妊治療というものは存在しない)ということを最近感じるのだけれど、そういうことも含めて、同世代の女子(あえて女ではなく女子)であれば、胸に来るものがあるのではないかと思った。
 加野瀬(id:kanose)さんの話。表現の場所というものについて、今はその商売で食おうと思っていない、表現欲のある人々はネットで作品を発表し、評価を求めているという話。もっとつっこめばよかったのだけれど、ネットがない頃ってそれってまんまファンロード(とそれに類する雑誌)の役割だったんじゃあるまいか。ハガキ職人同士の誌上交流や、編集部主催のお茶会(つまりオフ会か)など、ネット以前の人々はああいうところで蠢いていたように思う。
 ばるぼらさんの話。とにかく冒頭で掴みはOK状態でばるぼらさんは持っていってしまったので、ただただ面白かった。未映子さんとの会話のかみ合い方というか、かみ合わなさが楽しい。ずっと笑っていて、内容はよく覚えていない。
 円盤店主である田口さんのお話。インディーズってなんだろう? という疑問がいまいち解消されない私だが、沖縄の音楽流通の話がリンクするところも多くとても楽しかった。仕事が「おもしろい」か「おもしろくないか」ということってすごく重要だと思うんだけど、世の中は「食えるか」「食えないか」のことが多いのかもしれない、と田口さんのお話を聞いて思った。いやそれはこのイベントに出演していた人すべてから感じたことかもしれない。

ミニコミ「BET」感想文

 ばるぼらさんが文学フリマで売っていたというミニコミを購入。自販機本、羽良多平吉さんのインタビュー、吉祥寺マイナーが特集。マイナーについてはわからないけれど、自販機本、羽良多さんのインタビューはすごく面白かった。特に自販機本についてはちょうど先日まあ諸事情あってBABY FACE(注! 18禁スカトロ雑誌)のモノクロページを読んでいて、こういう雑誌のモノクロコラムページが本当におもしろいということに改めて気づかされたばっかりだったので、すごく興味深く読めた。
 どうでもいいけど、当日もらった未映子さんの文章が乗っているWBとBETを見比べて、BETの方がはるかにデザインもかっこいいし読みやすいのはどうしたものかと思った。だってBETはコピーのミニコミですよ? まあそれもばるぼらさんが作ったと思えば当然か。あ、WBに掲載されている文章はおもしろかったし、松蔭浩之さんの写真もかっこよかったです。

かの×ぼら

 そういやすっかり忘れていたけれど、このイベントはかの×ぼら的にもおいしいものでございました。なんのことかわからない向きのために書いておくと、ユリイカ2005年11月号「文化系女子カタログ」(ISBN:4791701402)で速水筒さんがやおいについて論じた「ひとでなしのゲーム」の冒頭に出てくるカップリングのことです。以下引用。

「『ユリイカ』の『オタクvsサブカル!』の加野瀬×ばるぼらやおいだよね! 略して「かの×ぼら」! 萌え!」

 ってまあ腐女子の妄想はどこまでもというカップリングではあるが、私たちはどこでもなんでも萌えられる人種のため、薔薇イベントも妄想しようと思えばいくらでも! という状況でした。しかしながら個人的にはBETにも協力されていたj.k.氏*1ばるぼらさんのカップリングを最近は推したい気持ちです。ほら前述の「オタクvsサブカル!」(ISBN:4791701372)でも編集後記でばるぼらさんを白皙の美少年とか言ってるのはj.k.氏なわけだし。一応その箇所を引用。

昂然と顎を上げて、薄ら嗤いの切れ目に、秋霜のごとき罵倒を吐き捨てる白皙の美少年ばるぼら氏。

 こんな表現は恋以外の何者でもないよ。つまり三角関係なわけですよ! キャー! とまあこれ以上はみんなが嫌がりそうなのでやめておきます。